サロンに入った時からみんなを抜くことしか考えてなかったです。早く、どうしたら抜けるか

『次世代美容師コンテスト』選考委員インタビュー Vol.2 高木琢也さん(OCEAN TOKYO代表取締役)

「いいですね、このコンテスト。夢ありますね。これからどうやって広げるか、ですね」

がんばります。まず20歳で就職して、何を考えていましたか?
「抜くことしか考えてなかったです。みんなを。先輩も含めて。もう入った時からですね。早く抜く。どうしたら抜けるか、っていうのは常に考えてました」

そのために何をしていましたか?
「イメトレ。抜くイメトレです」

どういうことですか?
「ボク、時間がなくて練習ができなかったんです」

どうしてですか?
「起きれなくて。アシスタントとして撮影につくこともけっこうあって、撮影って朝早いんですよ。その上朝練の日と被ることもあるから。かといって夜も疲れてるから早く帰りたいし。そういう意味ではあまりモチベーションが高いスタッフとは言えなかったかもしれませんが」

抜きたいのに、ですか?
「当時から、お客さんに一番喜んでもらうことが正解って思ってました。僕の考えかたって、例えばお客さんにアシスタントが10人スタイリングに入ったとして、高木くんが一番うまいねって言ってもらえたら、その時点で他の9人を抜いたことになる、そういう結論です。だから練習が少ない上で、どうやって抜くかっていったら、みんなの営業中の仕事を見て盗むしかない。やっぱり叱られたりもするから、今日叱られたことを二度と言われないようにするにはどうしたらいいか、とか。そういうマインドでしたよね。頭の中で考える時間が多かったから」

見て学ぶってことですか?
「そうです。例えばカラーも、こうやって塗ったらいいんだって、営業中に観察していました。その場でやるわけにはいかないですから、見て盗んで学んで頭に叩き込んでました。カットとかも、通勤の電車の中で前に立っている人の頭を見ながら「このおじさんはこうやって切っているからこうなるんだ」とか考えたりして」

実技はどうしたんですか?
「練習は全く行かなかったわけじゃなくて、週に2回中の1回は行っているから、そこで試してました。月に8回のうち、最低4回は行ってました」

その頃はどんなメンタルでした?
「ガツガツもしていましたが、スタイリストになるまでは、ガツガツよりも強気だけどネガティブではありました。上司に決めなきゃいけないところで決める男じゃないって言われてことがあって。サッカーの大事な試合の前に怪我するし、高校も大学も落ちるし、公務員も落ちてとか、決めきれないのがお前だって。それも気にしてて単純にガツガツ、ハッピーな感じじゃない。ふつふつと思っているフツフツ系タイプでしたね。ただ狂犬とは言われてましたが(笑)」

ははは。
「その頃から腑に落ちないこととか、納得いかないことは口に出して言ってましたから。めんどくさい奴ですね(笑)」

練習来ないのに(笑)。
「でも仕事は一番できたと思ってますよ。シャンプーもカラーも全施術を同期の中では一番最初に受かったし」

そしてスタイリストデビューは23歳。心境の変化はありましたか?
「その頃はもう強気になってました。もう認めさせてやろう、が強かったです。売り上げも例えば他の人たちが一年かかって100万売り上げるとしたら、オレはその半分で行こうと。そのまま勢いつけて全員抜いちゃおうって。アシスタント時代は後輩が勢い出てきたら抜かれちゃうかもなんて気にしてたりしましたが、デビューしてからは振り返らなくなりました。抜いた人は一生見ないと決めてました」

駆け出しの頃なんて自分にお客さんが集まらないわけでしょ? どうしてました?
「目の前のお客さんを幸せにする、っていうことはもちろんですが、それより目の前のお客さんの彼女、親、友達に認めてもらうにはどうするかを考えていました。その人たちが「めっちゃカッコよくなったじゃん、かわいくなったじゃん」って本人に言ったら、本人はめっちゃ満足しますよね。だから目の前のお客さんの向こうにいる人を喜ばせるためには、どうしたらいいのかな、と。目の前のお客さんがリターンするのは当然で、この人を見た周りの人たちに来てもらえるようにすればいい。そうすれば売り上げは上がる。だから紹介はめちゃくちゃ来ました。あの頃はSNSはなかったし、雑誌にも出られなかったから紹介で増やしてました」

何か秘密のトーク術でもあったんですか?
「特にないですけど……でもリターン率は98%でした。ほぼリターン、カットモデルの人も全員こぼしてないです。僕はおそらく普通の人よりガラも悪く見えるし、喋り方も丁寧じゃないけど、話しやすいキャラクターで施術中に声をかけるときの敷居の低さは心がけていました」

それってオリジナルの接客方法なんですか? 誰かを参考にしたりとか?
「学生の頃に髪を切ったもらっていた美容師がすごいラフな方で、美容室ってこんなにラフでいいんだって結構衝撃だったんですよ。優しく、距離も近くて。それまでは、僕はもうちょっと切ってほしいってことも言えなかったですよ、気を遣っちゃって。だから自分も遠慮なく言ってもらえる美容師になりたいなあと思って。「気になるところがあったら言ってね」とは最初から言ってたし、「高木さんは有名じゃないけど、この人にだったら言いやすい」っていう空気は作っていたつもりです」

『次世代美容師コンテスト』選考委員インタビュー Vol.2 高木琢也さん(OCEAN TOKYO代表取締役)

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